制御不能な“もう1人の僕”
「ヘルプマークあっても変わらない」ウーバーイーツの配達員の男性は、幼少期からナゾの病に苦しみ続けていた。突然、もう1人の自分が現れ勝手にしゃべりだす。その病は原因不明、確固たる治療法もなく「悪魔の病」という人もいる。あなたも街ですれ違ったことがあるかも…「トゥレット症」と闘っている人と。第61回ギャラクシー賞や2024年日本民間放送連盟賞で高い評価を受け、TBSドキュメンタリー映画祭2024では名古屋限定上映が盛況を博し、アンコール上映が決定!
監督:柳瀬晴貴 ©CBC
監督:柳瀬晴貴
Comment
【取材のきっかけは、深夜に届いた見慣れないメッセージ】2022年の冬、当時警察担当だった私は、いつものように名古屋市内で 関係者に話を聞く“夜回り”と呼ばれる1日の最後の仕事を終え帰宅した。食事を作るには、時間が遅すぎる。そこでウーバーイーツの出前を注文した。
選んだのは沖縄料理。アプリで決済するとしばらくしてスマホの通知が鳴った。配達員からのメッセージだった。
『病気があり、声や身体が動いてしまうことがありますが許していただけると幸いです』 普段、配達員からメッセージをもらうことはない。
(どんな人が来るのだろうか?)(客にこんなことを知らせる理由があるのか?)(なぜ配達員をしているのか?)疑問が頭の中を駆け巡る。
注文から30分後、インターホンが鳴った。「ウーバーです!」 モニターに映る配達員は、自分と同じくらいの年齢の人だ。
「あいよ!」「あいよ!」 大きな声がマンションの廊下に響き渡る。部屋に近づいてくるのはすぐにわかった…。
そう、配達してくれた“彼”こそが、当作品の主人公“レオン”だ。私は、腹がすいていたことは吹き飛び、レオンにくぎ付けとなってしまった。
Profile
1997年 福岡県生まれ。法政大学経営学部卒業。憧れの東京キー局の就職活動にことごとく失敗。縁もゆかりものなかった名古屋のCBCテレビに入社。
配属は報道部。以来、記者生活5年目となった。これまで愛知県警察の担当や遊軍記者として、河川敷の農園で多発するスイカ泥棒の犯人を張り込んだり、殺人事件の現場取材、秘密裏に行われていた有名自動車メーカー系列の販売店での不正車検の実態を暴いた。また、名古屋の繁華街をさまよう“ドン横キッズ”の問題を全国発信し、一連の真面目な“泥臭い取材”は「見た目からは想像できない」と言う人も。独身記者生活が、きょうも続くが、週2回はウーバーイーツのお世話に。そんな中で、当作品の主人公・棈松怜音さんに出会う。取材映像は、TBSテレビの「ドキュメンタリー“解放区”」や「報道特集」でも全国放送し話題を呼ぶ。趣味は「取材」。大切にしていることは、「運」と「縁」と「恩」。