誰のための公共事業~ギロチンが宝の海を壊した〜

誰のための公共事業~ギロチンが宝の海を壊した〜

ギロチンが、暮らしを壊した。
枯れ行く海で生きる漁師たち。
悪名高い「ギロチン」国営諫早湾干拓事業。かつて「宝の海」と呼ばれた有明海はすっかりその姿を変え、漁業が深刻な打撃を受けた。漁業者たちは「諫干」こそが原因であると、潮受け堤防排水門の「開門」を求め続けているが、国はこれに抵抗し、またかつて「開門」判決を出した司法も「非開門」に転じている。追い込まれていく漁業者たち。巨大公共事業は誰を幸せにしたのか。

監督:里山千恵美 ©RKB

Trailer予告動画

監督:里山千恵美

Comment

公共事業は国民の血税を使う以上、国民がその恩恵を受けるものでなければならない。また相応の費用対効果が認められるものでなければならない。
当たり前の話ですよね?
かつて「宝の海」と呼ばれた有明海。過去の映像を見ると、干潟をちょいと掘れば様々な海の幸が溢れ出るとんでもなく豊かな海、本当に奇跡としか言いようのない海でした。その奇跡のバランスを壊したものこそ、国営諫早湾干拓事業。そのことは海の研究者たち、また長らくこの海で生きてきた漁師たちが口を揃える所です。
しかし国は事業の非を認めず、事業を検証する「開門調査」さえも強固に拒みました。いや、最低限検証ぐらいしましょうよ。
また行政をチェックすべき裁判所も途中からおかしな訴訟指揮を繰り返し、自らが出した確定判決をスルーした国の姿勢を容認してしまいました。
怖っ。法より権力? 法治国家は返上ですか。
「無駄な公共事業の代名詞」不名誉な称号を冠する諫早湾干拓事業は、一体誰のための、何のための公共事業だったのか? 環境問題が熱いこのご時世に見るあのギロチン、どう感じますか? そんなことを今一度考えていただきたいと思い制作しました。

Profile

RKB毎日放送ディレクター。大阪生まれ、奄美育ち、大学から福岡住まい。1992年RKB入社。振り出しは報道部記者(記者時代に遭遇した一番大きな事件は福岡空港ガルーダ機事故)。その後ラジオ制作部や放送部をちょこっと挟みつつ、ほぼTV制作部に長居。これまでに制作したドキュメンタリー番組は「春、38度線を越えて~子供たちの引き揚げ~」「毒の油を口にして~カネミ油症事件50年~」「描き続けて~野見山暁治101歳の肖像~」など。諫早湾干拓事業に関連した有明海漁業の取材は、裁判を入口に2015年に始まる。これまでに30分番組4本、1時間番組2本を制作。「国ってもっとちゃんとした存在だと思っていたのに」取材過程での驚きは、いつしか「司法もなんだかおかしくない?」そんなに恐怖に変わっている。「再生された有明海の海の幸をたらふくごちそうになる」その約束は未だ果たされていない。

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