4/4,5 京都・2週目イベントレポート
ついに開幕した『TBSドキュメンタリー映画祭2026』!
4/4,5にて実施した映画祭京都会場2週目の舞台挨拶イベントの様子をお届けいたします!
『War Bride2 奈緒と4人の戦争花嫁』舞台挨拶
本作の舞台挨拶が行われ、上映終了後の熱気冷めやらぬ会場に、川嶋龍太郎監督と、俳優の山口馬木也さんが登壇。本作でナレーションを務めた山口さんは、劇中に登場する桂子・ハーンの父親役を舞台版でも演じており、"父娘"の深い縁を感じさせるトークが展開された。

川嶋監督は、本作の制作経緯について聞かれると「4人の戦争花嫁のうち、桂子・ハーンは私の伯母にあたります。彼女たちの話を聞くうちに、これは1930年から現在まで続く壮大な"朝ドラ"だと確信しました」と語りました。山口さんをナレーターに起用した理由については、「舞台版で伯母の父親(監督の祖父)を演じていただいた山口さんに、今度は映像でお父さんの視点から声を吹き込んでほしかった。その温かさが、作品にさらなる説得力を与えてくれました」と明かしました。
主演映画『侍タイムスリッパー』のヒットでも注目を集める山口さんは、本作との出会いを自身の人生の転機と重ねて振り返り、「俳優という仕事の難しさに直面していた時期に、この作品に出会いました。戦後、見知らぬ土地で逞しく生きた女性たちの姿を通じ、愛すること、信じること、そして未来を見据えて今を生きることの大切さを教わりました」と、作品への深い思い入れを熱弁しました。
ティーチイン(質疑応答)では、前作の舞台版も鑑賞したという観客から「舞台のラストシーンと、映画で描かれる実際の景色がオーバーラップして感動した」という声が上がり、 山口さんは「舞台の稽古中、当時はまだ見ぬ現地の景色を想像し、共有しながら演じていました。今日、皆さんの前でその答え合わせができたような気がして嬉しいです」と感慨深げに答えていました。
最後に川嶋監督は、映画祭という枠を超えた今後の展望として「90歳を過ぎてもなお輝き続ける彼女たちの物語を、全国の皆さんに届けたい。そのためには、皆さんの声が必要です。ぜひ『この映画を全国で見たい』という思いを広めてください」とコメントし、山口さんも「この歴史を、そして彼女たちの思いを、次の世代へと繋いでいきたい」と力強く結び、会場は終始温かな一体感に包まれたまま幕を閉じた。

『鈴木順子「私は生きる」ー脱線事故20年、記憶の軌跡』舞台挨拶
本作の舞台挨拶が行われ、本作の主人公である陶芸作家の鈴木順子さん、母のもも子さん、そして20年にわたり一家を取材し続けた橋本佐与子監督が登壇しました。

2005年のJR福知山線脱線事故直後から現場に立ち、取材を続けてきた橋本監督は「当時は20年後の姿を映画にするなんて想像もしていませんでした」と振り返り、「テレビのニュースとして始まった取材が、こうして映画という形で残り、皆さんに届いたことに心から感謝しています」と長きにわたる歳月を噛み締めていました 。
事故で重傷を負い、過酷なリハビリを経て陶芸作家となった順子さんは、「自分が映画に出るなんて信じられない気持ちですが、これが事実です。困難を乗り越えたいという想いが伝われば」と静かながらも力強い言葉で現在の心境を語りました 。
上映中、場内からはあちこちで鼻をすする音や、啜り泣く声が漏れ聞こえていて、母・もも子さんは、これまでの試写会や別会場での上映を振り返り、観客の反応を大切に受け止めて「以前、ご覧になった方に感想を聞くと『たくさんの方に支えられてきたんですね』と言われました 。私たちは当事者ですが、観客の皆さんはご自身の抱えてきた苦しみや葛藤を、映画の映像に重ね合わせて、鏡のようにしてご覧になっているのではないかと感じています」と明かしました 。「人生には『塞翁が馬』という言葉がありますが、怪我をしたからこそ、今こうして皆さんと幸せを共有できている。映画が皆さんの心に寄り添うものになれば嬉しい」と、会場へ向けて温かな眼差しを送りました 。
本編では、事故当時に順子さんを救命し、その後過労により逝去された長谷貴将医師のご遺族(妻・洋子さん)へのインタビューが大きな反響を呼んでいることに対し、橋本監督は、長年交流のあった洋子さんへの取材について「これまでの関係が崩れるかもしれないという葛藤もありました」と吐露 。しかし、「長谷医師が救った命(順子さん)が、今度は遺された奥様の生きる希望になっている。その繋がりをどうしても伝えたかった」と語りました 。もも子さんも「先生には元気になった姿を見てほしかった。今でも悔しさはありますが、こうして作品として残ったことが何よりの供養になる」と涙ながらに語りました 。
今後の目標を問われた順子さんは、「まだ模索中ですが、せっかく助かった命。何かを見つけて突き進みたい」と前向きなコメントを残した。
トークの終盤では、映画祭アンバサダーのLiLiCoさんが順子さんの「ハート型の時計」の作品を大変気に入り、橋本監督が私物をプレゼントしたというエピソードも披露。もも子さんから「早く次の作品を作ってね」と愛のあるプレッシャーをかけられると、順子さんは「まさか陶芸家になるとは思っていませんでしたが、皆さんに気に入っていただける作品を精一杯作りたい」と笑顔を見せ、会場は再び温かな拍手に包まれました 。





