愛、涙、裏切り…"少年院上がり”の新人TVマン 2年間の記録––少年院を出てケーブルTV局で働き始めた17歳の少年。店舗荒らしや空き巣を繰り返し、750万 円の被害弁償を背負いながら、人生をやり直そうとしていた。初めて会社員として、そしてテレビマンとして毎日を送る中、少年はさまざまな困難にぶつかる。その姿を、笑いに変えながら支え続けるプロデューサーの男性。しかし、新たな居場所になるはずの職場で、少年は重大な約束を破ってしまう。挽回のチャンスとなる大きな仕事に、少年は決意とともに臨むことになる––果たして未来は開けるのか。
監督:柳瀬晴貴 ©CBC










監督:柳瀬晴貴
Comment
まさか、メディアがメディアを取材する日が来るとは思ってもいませんでした。
きっかけは、一本の電話です。「新人が全員辞めてしまって、今度は受刑者の雇用を考えているんだ」––電話の主は、作品の主人公である林プロデューサーでした。地元の祭りの取材を通じて交流があり、近況報告のように語られた言葉が、取材の扉を開きました。
少年院の撮影許可は高い壁でしたが、何とか実現させました。そして、さらに驚いたのは、ケーブルテレビ局の内部に、他局のカメラとして足を踏み入れる許可をいただけたことです。通常ではあり得ない判断に応じてくださったCATVの皆さんへは、感謝の思いしかありません。密着を進める中で見えてきたのは、「更生」の道のりの厳しさでした。元犯罪者というレッテルに向き合いながら、自立を目指す少年と、支え続ける林プロデューサー。その姿を通して、社会復帰の難しさと、それを阻むものは何かを問いかけています。
さらに、報道現場で“当然”とされてきたモザイク処理についても、少年は「それ自体がレッテルではないか」と投げかけます。その言葉を受け、私たちは“保護”と“烙印”の境界を見つめ直し、自分たちなりの答えを作品の中に込めました。
Profile
1997年、福岡県生まれ。法政大学卒。東京キー局の就職活動に全敗し、縁のなかった名古屋・CBCテレビへ。
配属は報道部で、以来7年間、事件・事故から地域課題まで現場を走り続けている。若手時代は、河川敷で多発したスイカ窃盗の張り込み、殺人事件の現場取材、そして大手自動車メーカー系列販売店で密かに行われていた不正車検の告発取材など、泥臭い現場を積み重ねてきた。名古屋市政キャップを経て、現在は岐阜駐在として県内各地を取材。
趣味は“取材”。これまでの仕事を支えてきたのは「運」と「縁」と「恩」。現場で出会う人との関係が、作品や企画の核心になるという思いを大切にしている。
監督デビュー作『劇場版 僕と時々もう1人の僕~トゥレット症と生きる』は、こども家庭庁の児童福祉文化財・特別推薦作品に選出されたほか、ドイツの国際映像祭でも特別賞とシルバーを受賞。テレビ版『盗るな撮れ』はギャラクシー賞や日本民間放送連盟賞などを受賞。