「死刑囚の家族」として生きる宿命。向き合う覚悟とは。息子が起こした事件で“死刑囚の家族”となり、人生が一変した奥本さん一家。事件後、両親は無理心中を図ろうとするほど追い詰められた時期もあったが、福岡拘置所で死刑執行を待つ息子と今も面会を続けている。日々、執行のニュースに怯えながらも、奥本さんは最後まで息子と向き合う覚悟だ。弟もまた、世間の視線や差別と向き合いながら生きてきた。ごく普通の家族が背負う過酷な現実。事件から15年、家族は今、何を思うのか。
監督:西村匡史 ©TBS
「死刑囚の家族」として生きる宿命。向き合う覚悟とは。息子が起こした事件で“死刑囚の家族”となり、人生が一変した奥本さん一家。事件後、両親は無理心中を図ろうとするほど追い詰められた時期もあったが、福岡拘置所で死刑執行を待つ息子と今も面会を続けている。日々、執行のニュースに怯えながらも、奥本さんは最後まで息子と向き合う覚悟だ。弟もまた、世間の視線や差別と向き合いながら生きてきた。ごく普通の家族が背負う過酷な現実。事件から15年、家族は今、何を思うのか。
監督:西村匡史 ©TBS
監督:西村匡史
撮影:小松原茂幸 金子孝礼 選曲:高橋拓
EED:中山聖 上山裕樹 MA:小山千尋
協力ディレクター・編集:小松原茂幸
[2026年/65分 ©TBS]
監督:西村匡史
Comment
私が初めて奥本さん夫妻と出会ったのは2013年、殺人事件を起こした長男、章寛を支える会の集会の際でした。
部屋の隅で、肩をすくめながら時には涙を拭う浩幸さん、参加者全員に深々と頭を下げる和代さんの姿が今でも胸に焼き付いています。私はその後、最高裁での死刑判決、死刑囚としての処遇確定、取返しのつかない罪の重さに苦しむ息子の前で狼狽する夫妻の姿を13年間、目の当たりにしてきました。ごく普通の家族がある日、死刑囚の家族になってしまう。誰もが自分たちとは関係のない遠い世界で起きていることと考えるでしょうが、そんな現実は確かにあるのです。
夫妻は息子が起こしてしまった事件の被害者への「罪悪感」と、死刑執行で息子を失う「恐怖感」の狭間で、一日一日を葛藤しながら生きてきました。死刑囚の家族が顔と実名を出して語ることは大きな負担を伴います。
私は監督として、家族までカメラで撮影しスクリーンで描く業の深さを痛感しながらもどうしても知ってもらいたいと思い制作しました。この作品を通して「罪と罰」や「死刑」、そして「家族」について考えてもらいたいです。
Profile
1977年、新潟県生まれ、東京都育ち。2003年にTBS入社。
報道局社会部で警視庁、横浜支局、検察庁、裁判所を担当後、「NEWS23」のディレクター、司法キャップ、ロンドン特派員を経て現在、「報道特集」のディレクター。事件、事故、震災、戦争、自死などの被害者取材から、死刑囚やその家族などの加害者側の取材、欧州を舞台にした安楽死に至るまで、一貫して「命」をテーマにした特集を手掛ける。
主なドキュメンタリー作品に「世界一寛容なノルウェー刑務所 ~77人殺害テロ事件遺族の葛藤~」、「ボスニア紛争 ~8000人犠牲のスレブレニツァ虐殺現場の今~」、「遅すぎることはなかった ~オランダ戦後75年の補償~」など。映画監督として『死刑囚に会い続ける男』、『さっちゃん最後のメッセージ ~地下鉄サリン被害者家族の25年~』、『彼女が選んだ安楽死 ~たった独りで生きた誇りとともに~』を制作。
著書に「悲しみを抱きしめて 御巣鷹・日航機墜落事故の30年」(講談社)。
「報道特集」の放送後、大きな反響を呼んだ特集記事「安楽死を考える スイスで最期を迎えた日本人 生きる道を選んだ難病患者」で、2024年の「LINEジャーナリズム賞」年間大賞を受賞。