3Dで見えた教官たちの特攻と悲劇、そして80年目の新発見。海底に眠る米軍艦エモンズを3Dで可視化し、損傷の痕跡を詳細に分析した結果、教官たちで構成された特攻隊による攻撃だったことが明らかになった。さらに、昨年新たに発見された日本軍機 も3Dモデル化することで、戦艦大和の海上特攻に関わっていた可能性が浮上してきた。遺族の声と研究者の分析、デジタル技術を組み合わせることで、これまで見えなかった戦争の実像が立ち上がる。語り手が減り薄れゆく戦争の記憶を、“物言わぬ語り部”である戦争遺物と最新技術で記録し、未来へ継承する取り組みを追った。
監督:今林隆史 ©RKB










監督:今林隆史
Comment
戦後80年が過ぎ、戦争体験者から話を聞くことは一層難しくなっています。
戦後●●年という区切りに大きな意味はないかもしれませんが、それでも取材者の間では「戦後90年に何を報道できるのか?」という危機感が高まっています。
こうした中、戦争の記憶を風化させないために重要性を増しているのが「戦争遺物」。「物言わぬ語り部」とも呼ばれます。最新のデジタル技術を活用し、遺物の3Dモデルを作成して「可視化」。そこに遺族の証言や残された日記などの「声」を重ねることで、戦争の実像を浮き上がらせることを目指しました。
ターゲットは水中の戦争遺物。手は届きにくいものの、風化する一方の陸上の遺物よりも戦時中の形をとどめているからです。沖縄の水深40mの海底に眠る米軍艦エモンズはカメラ片手に潜って撮影。鹿児島湾で新たに発見した零式水上偵察機の撮影には、日進月歩の水中ドローンが威力を発揮しました。
戦後80年経った今だからこそ可能になった技術も使って、海中の戦争遺物が発するメッセージを読み解きました。
Profile
2001年RKB毎日放送に入社。報道部の記者として政治や経済などのニュース取材に加えて、ドキュメンタリー番組の制作にも携わる。
2011年に長崎県鷹島沖で「元寇の船」発見の一部始終を報道、水中での取材を続けている。2015年にはパラオとミクロネシアで戦時中に沈んだ日本の輸送船を取材。2016年11月から4か月間、地方民放局では初めて南極観測隊に同行、昭和基地開設60周年や地球温暖化の影響などを南極から中継で放送。2018年からJNNソウル支局に赴任し、韓国の大統領選挙(2022)などを取材。
気象予報士・潜水士の資格を有し、環境問題や防災、水中考古学などの取材をライフワークとしている。防災や戦争などの全国ネット特番の制作に複数携わる。
番組「黒い樹氷~自然からの警告~」で科学技術映像祭 内閣総理大臣賞(2009)、「風を集めて~“レンズ風車”未来への挑戦~」で同映像祭 文部科学大臣賞(2012)、「甦る元寇の船~神風の正体に迫る~」で同映像祭 文部科学大臣賞(2013)、「情報は誰のもの?~ごみ処理施設と情報公開~」で第62回ギャラクシー賞テレビ部門「優秀賞」(2025)など受賞。