3月20日(木) 、21日(金)、22日(土)、23日(日)!舞台挨拶まとめレポート
3月20日(木) 、21日(金)、22日(土)、23日(日)の4日間で各作品の舞台挨拶を実施いたしました!
さまざまな作品の監督や出演者が登壇した舞台挨拶の模様をまとめてお届けします!
〈3月20日(木)実施舞台挨拶〉
『巨大蛇行剣と謎の4世紀』
【登壇者】山﨑直史監督、山崎怜奈(タレント)
2 メートル 37 センチの巨大蛇行剣パネルを携え登壇した山﨑監督。一緒に登壇したゲストの山崎怜奈さんについて、「山崎さんが、この映画をどういう風に感じてくれたのか聞いてみたかったんです。同じ“ヤマザキ”で、しかも歴史好き。4、5年前からずっと 勝手に気になっていて、自分が係る番組でもいつかご出演して頂きたかったんです。」と、山﨑監督たっての願いが通じ、今回のゲスト登壇が叶ったことを告白。
そんな山崎怜奈さんは本作を観た感想を訊かれ、「歴史は趣味ベースで好きなんですが、発掘調査の現場がどのように動いていて、保存科学というものがどれだけ繊細で難しいものなのか、それがコンパクトにぎゅっと凝縮されているので、詳しくない方でも見やすくて、さらに歴史のロマンだったり、想像が膨らむところを楽しめるドキュメンタリー映画だったと思いました!」と絶賛。
さらに、 「この巨大蛇行剣が作られた4 世紀は、日本に資料が残っていないと本編でも言われてましたが、確かに学校で勉強したとき、ここ飛ばしてたなと(笑)。それも 100 年くらい飛ばしていたんだということに気づいてビックリしました!」と新しい 発見があったことに改めて驚いていました。
最後に山崎怜奈から、「今回の発見によって、今の教科書で定説とされ掲載されている歴史が変わることはありますか?」という質問に、山﨑監督は「(教科書を)変えるまで行くかは分かりませんが、大きな影響を与えると思っています!」と自信を見せた。
〈『巨大蛇行剣と謎の4世紀』作品情報&上映スケジュール〉
https://tbs-docs.com/2025/title/06.html
〈3月21日(金)実施舞台挨拶〉
『あの日、群馬の森で -追悼碑はなぜ取り壊されたのか-』
【登壇者】三宅美歌監督、日下部正樹監督、安田浩一(ジャーナリスト)
本作で初めて長編を手掛けた三宅監督は、追悼碑撤去問題をテーマにしたことについて「2017 年の関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式を取材したとき、こういう形で追悼している人たちがいることに、私自身も救われた気持ちになりましたが、その場所で『あれは無かった!』と声を上げている人たちは一体何なんだろうかと。安田さんの講演会でも各地で同じことが起きている事と知り、『これはただ事ではない。もっと深掘りしたい。』という思いが、今に繋がりました」と取材動機を話しました。
自身も追悼碑撤去の現場を取材している安田さんは、本作を観て「三宅さん、日下部さんが立っていた現場に私も立って、同じ風景を見てきました。いま、日本の社会で一体何が起こっているのか。この映画から伝わってくるのは、日本社会がきしむ音であり、壊されていく音。そこをしっかり分かりやすく捉えてくれた。」とコメント。さらに「私の中にある憤りとか、絶対に許してはなるものか、という気持ちをさらに煽りたて扇動してくれたことに感謝したい」と三宅監督に賛辞を送っていました。
日下部監督は、本作を取材する中で感じたことを訊かれ、「歴史否定を主張するグループや人物というのは昔から居たわけですが、彼らの主張が完全否定されず、何となくの雰囲気で受け入れられてしまっている。」とコメントし、さらに、反対派の抗議もネットの登場で激しさを増したことが要因にもなっていると語り、「行政が抗議に対して圧倒的に弱くなり、中立公正ばっかりになってしまっている。ネトウヨ団体の言っていることは、決して珍しくも新しくもないのに、受け入れられてしまっている空気が日本中に漂っている。」と現状を危惧していました。
舞台挨拶の最後に三宅監督は「ひとつの追悼碑の裏には色んな人がいました。対立する両側の意見を盛り込みつつ、俯瞰して見るような想いで作りました。この話題の複雑さを感じて頂いて、皆さんの中で色々と考えて頂ければ嬉しいです」と訴えていました。
〈『あの日、群馬の森で -追悼碑はなぜ取り壊されたのか-』作品情報&上映スケジュール〉
https://tbs-docs.com/2025/title/10.html
〈3月22日(土)実施舞台挨拶〉
『小屋番 KOYABAN ~八ヶ岳に生きる~』
【登壇者】永山由紀子(企画・プロデューサー)、深澤慎也監督、
菊池哲男(山岳写真家)、一双麻希(女優)
当日は、晴天で温かく絶好の登山日和の中で開催され、満席で迎えられた深澤監督は「皆さん山好きだと思うので、みんな山に行っちゃったらどうしようかなと思ってました(笑)」と挨拶。この日の舞台挨拶は、チケットの発売開始わずか8分で売り切れたという盛況で永山プロデューサーは「22日の0時に発売されたんですが、その8分後には私のところに『買えなかった!』とお怒りのメールが何通も届いておりました(笑)。その方たちには、ぜひ平日の回にとご誘導させて頂きました。」と笑顔で報告していました。
前回の舞台挨拶では、自身のYouTubeチャンネルで生配信した一双さん。今回はインスタグラムでの生配信を行いながら登場すると、遠方で会場に来れなかった山小屋の方々から「見てますー」とコメントが届いていると紹介しました。本作の見どころを訊かれると、一双さんは映画冒頭の根石岳山荘のシーンを挙げ、「山小屋から見える朝日も夕日もすごく綺麗で、本当にきるパワーがいてくるところなんです。小屋番の佐藤さんのインタビューは心に響きました。」とコメントしました。
菊池さんは自身の登場シーンを紹介。昨年末に放送されたTBS『解放区』で、自分がストーリーテラーで出演すると宣伝していたのに、実際はほとんど映っておらず周りから「聞いていた話と違う」と言われてしまったと話すと、今回の映画では、黒百合ヒュッテのインタビューシーンで「暖炉の前で暑いくらいなのに、アウターを着て、帽子もロゴが見えるように被って、ニコンのカメラも目立つように持ちながらやりました」と語っていました。続けて、「僕が映らないと、サポートしてもらってるところのロゴが映らないので、別に自分が出たくて言ってるわけじゃないですよ!」と話して会場を笑わせていました。
本作の苦労話を訊かれると、深澤監督は「少人数で作らなければならなかったので、それでどこまで出来るのか正直不安でした。」と、撮影時の気持ちを吐露。しかし、大勢の観客を前に涙を滲ませながら「思い返すと大変なことは色々ありましたが、この映画は八ヶ岳の小屋の方々の協力無くしては出来きませんでした。あちこち撮影するときに『いいよ。泊まりな』と言ってくださったり、撮影が無い時でも支えてくれました。」と声を震わせながら感謝を述べ、会場に訪れていた双子池ヒュッテを営む米川夫妻をはじめ、撮影を支援した八ヶ岳の関係者を紹介すると、会場から拍手が巻き起こっていました。
〈『小屋番 KOYABAN ~八ヶ岳に生きる~』作品情報&上映スケジュール〉
https://tbs-docs.com/2025/title/03.html
『巨大蛇行剣と謎の4世紀』
【登壇者】山﨑直史監督、今村翔吾(歴史・時代小説家)
ゲストの今村さんをTBS「Nスタ」のコメンテーターに抜擢し、プライベートでも食事にいくほどの間柄という山﨑監督は「今村先生は、ご出身が京都で、中学・高校が奈良。しかもデビュー前は発掘調査のお仕事をなさっていたという。これ以上のゲストはいないだろうと、今回の舞台挨拶のゲストをお願いしたんです!」と興奮気味に紹介していました。
そんな今村さんは、山﨑監督が持つ巨大蛇行剣パネルを見ながら「本当にすごい発見でしたね。これはかなりすごい!僕は確実に国宝になると思っています。」と声を大にして語っていました。
山﨑監督から、なぜ巨大な蛇行剣が作られたと思うかと訊かれると、今村さんは「これは本当に難しいですね。映画の中でも専門家たちが『その可能性がある』とか『そうなる見込みがある』とか断定はしない。あれは逃げて言っているわけじゃなくて、本当に分からないんです。だからそういう分からないことは、保存して未来に託すんです。」と保存科学の重要性を語っていました。さらに、「皆さんは巨大蛇行剣が儀礼のために作られたと思われるでしょうけど、僕は実際に使ってたやつがいるんじゃないかと思ってます!小説家的には、これをブンブン振り回すキャラクターを作って、すごいアクションをさせたい!そういう可能性もあるってところが考古学の魅力ですよね。」と持論を述べると、会場からは拍手が上がっていました。
山﨑監督は巨大蛇行剣について「当時の日本では鉄が取れなかった。すごい貴重な鉄をわざわざこんなことに使っていたんですよね。」と話すと、今村さんは「勾玉などに使われている貴重品の翡翠(ひすい)がありますが、その代用品として滑石(かっせき)というものを使った廉価品みたいな、“ジェネリック”勾玉が作られているんです。トップではない人の所からはそういうものが出てくるので、鉄を使った剣ということは、これは本物ですよ!鉄ブランド!」と巨大蛇行剣の貴重性を裏付けるようなコメントをしていました。そんな貴重な巨大蛇行剣を、どんな人物が持っていたと思うかと訊かれた今村さんは、前方後円墳のようなトップ層の墓ではなく、円墳から出土されたことを考慮し「軍事司令官とか、信長における秀吉みたいな、そういうポジションの方だったのではないかと思います。」と考察。さらに、「実は王位継承者だったけど、何らかの理由で円墳に入れられた人とか。小説家なので勝手に色んなパターンを考えてしまいますが、かなり特殊な円墳ということは分かりますよね。」とコメントしていました。
今回の発見と映画が、今後の作品に影響を受けるかと問われると、今村さんは「やるしかないか」と一言。山﨑監督は「古墳時代って、これまで大河ドラマとか小説とかでも、ほとんど作られて来なかったんですよね。」と話すと、今村さんは「分からない時代だからこそ、小説家からしたら恰好の餌食になりそうなんだけど、メチャクチャに書き過ぎたら宮内庁に怒られそうで怖い(笑)。戦国時代よりもっとグローバルで、渡来人もいて、宗教もひとつに固まってない時代だからエキサイティングなものになりそう。」と妄想を膨らませていました。
〈『巨大蛇行剣と謎の4世紀』作品情報&上映スケジュール〉
https://tbs-docs.com/2025/title/06.html
〈3月23日(日)実施舞台挨拶〉
『War Bride 91歳の戦争花嫁』
【登壇者】川嶋龍太郎監督、奈緒(女優)
本作を手掛けた川嶋監督は、「今年は戦後80 年という節目の年です。このタイミングでまた皆さんに見て頂けて光栄です。」と挨拶しました。「いま戦争体験をされた方たちは、90 歳を超える方が多く、お話を聞ける機会がすごく減っています。この映画では私の叔母である桂子・ハーンの他にも、何人かの花嫁さんにもお話を聞けました。それをしっかり映像で伝えて、これからの未来を作る若者たちに届けて、戦争について考えるきっかけになってほしい。」と作品をアピールしていました。
川嶋監督と奈緒さんは、今年の1 月にアメリカで桂子・ハーンを訪れました。その時に撮った写真がスクリーンに投影されると、奈緒さんは「たくさんお話をして、思い出の場所にも連れて行ってもらいました!桂子さん以外にも、現地の市長ともお話しする機会を頂いたんですが、桂子さんがこの土地で、どれだけの人に愛されているのか、すごく肌で感じることが出来ました。」と笑顔で振り返る。
川嶋監督はドキュメンタリーで伝えるということについて訊かれ、「私は普段、ドラマ制作部でフィクションの物語を作っているんですが、ドキュメンタリーは真実を伝えていく場だと思っています。その真実の物語を、今年は戦後80 年というタイミングなのでしっかりと伝えていきたい。」とコメントしていました。奈緒さんは「ドキュメンタリーは観なければいけないものという思いがあります。自分は普段エンターテイメントを作るのに携わっていますが、ドキュメンタリーは現実。日本は、映画やアニメだったり、何かを想像して作ることが得意な国民だと思います。だからこそ、ときには現実と意識的に向き合うことで、私たちはより豊かになれるんだと思います」と語っていました。
〈『War Bride 91歳の戦争花嫁』作品情報&上映スケジュール〉
https://tbs-docs.com/2025/title/15.html
『巣鴨日記 あるBC級戦犯の生涯』
【登壇者】大村由紀子監督、内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)
大村監督は本作を手掛けたきっかけを訊かれると、「10 年前に、福岡にある碓井平和祈念館で藤中松雄さんの遺書が展示されていたのを見ました。その時は、BC級戦犯について知識がなかったんですが、実物の遺書を見た時、これは何か伝えなければいけないものを見てしまった気がしたんです。そこから勉強をして、リサーチを重ねてきました。」と語っていました。また、大村監督は取材を進めていく中で、戦犯を持つ遺族から話を聞くことが難しかったと話しました。「もう触れないでほしいと、まず断られてしまいます。今の価値観で“戦犯”というと、刑事裁判にかかった犯罪者と同じように捉えられるところがあります。戦争中は、人を殺すのがあたりまえの世界で、しかもそれは命令されてやったことなんですが、『家の恥だから出さないで』と断られてしまうこともありました。」と、取材時を振り返っていました。さらに、戦犯関係の資料や公文書を調べることも苦労したそうで「1999 年頃から法務省が保存していた資料の公開が公文書館で始まったんですが、この人が誰なのか、資料の名前のほとんどが黒塗りなんです。いろんな片鱗で見えるような名簿を入手して、お一人お一人、検証する作業がすごく大変でした。」と話すと、内海教授も、公文書の資料について「のり弁状態でしたね。戦争犯罪ですから、その人が特定できる資料などは黒塗りにされていました。最近になって、ようやくフルネームで名前が分かるようになってきたんです。」と付け加えた。
本作を見た感想を訊かれた内海教授は、「この映画を観て圧倒されました。こういう戦争裁判の記録から、今の私たちに、そして次の世代に投げかけてくれた大村監督の作品に心から敬意を表したいと思います。」と声を震わせながらコメント。さらに、「同じ戦犯と言っても、韓国、朝鮮人、日本の植民地だった人々が戦争に動員され、戦争犯罪人として処刑されている。私はその事実を知ってこの問題に関心を持ちました。横浜軍事法廷で裁かれた冬至さんは、スガモプリズンの中でこれだけ記録を残せましたが、海外の法廷で裁かれた戦犯たちはどういう想いだったか。記録も遺書も遺せなかった。冬至さんの記録の中から、刑死した920 人の想いを、どう汲み取り、考えていくのか。問題としては広がっていくと思います。」と訴えていました。
大村監督は「過去のことを提示しても『それで?』『今の戦争を止められないじゃないか!』と言われることがあります。しかし、知るところから始めないと、次には進めないと思います。なんで今こういう状況になっているのか。後ろから始めないと、ウクライナやガザなどは見れない気がするんです。この映画が平和考える最初の一助になるように、より多くの方に観て頂きたいです」と願っていました。
〈『巣鴨日記 あるBC級戦犯の生涯』作品情報&上映スケジュール〉
https://tbs-docs.com/2025/title/17.html
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